システムエンジニア残酷物語
逃亡者が出るようなデスマーチに放り込まれた男の物語。 そこで見たものは、理不尽なまでの扱い、メンバー同士の探り合い、裏切り、まさに地獄絵図だった。 そして、家に帰れば鬼嫁が待っている。 その男のただ一つの安息は、そうマリナという女、ただ一人だった。読者から徹頭徹尾、’システムエンジニア’の話。綺麗事ばかり書かれた市販のお仕事小説とは一線を画すことだけは確か。システムを説明するための図が豊富で、一瞬小説であることを疑う。短納期のデスマ案件に人身売買された主人公の悲喜劇は、別の職業の人でも身につまされるところを含んでいるだろう。細かい表現や描かれている仕事内容が非常にやリアル。オチは意表を突いたものだが、その辺は本作の目指しているところではないだろう。主人公は修羅場での過酷さに耐えきれず現場のリーダと喧嘩したり、ITの才能に恵まれた後輩に嫉妬したりする。正直クズ。そのクズにキチンとヒロインも絡んでくるハーレム的な展開もある。IT業界のあるあるを面白い一つの話として昇華で来た稀有な作品ではなかろうか。IT業界で仕事する人、目指す人におすすめ。※成人要素はいっさいありません。